プロラクチンが高いと妊娠しにくいの?

 

 

プロラクチンは赤ちゃんの授乳にとって大切なホルモンですが、その働きはおっぱいだけではありません。

妊娠にも大きく関わっているホルモンで、高プロラクチンが不妊の原因となることもあります。

不妊の検査でプロラクチンの値が高めですね、と言われて不安を抱えている方も多くいらっしゃるはずです。

当院でも「大丈夫でしょうか?」と相談されることも珍しくありません。

 

そんな不安を少しでも解消していただくために、今回はプロラクチンがなぜ高くなるのか、どのくらい妊娠に影響があるのかお話したいと思います。

 

プロラクチンの働きや特徴について詳しい内容はこちらでお伝えしていますので参考にしてください。

プロラクチン(PRL)ってどんなホルモン? 妊娠との深い関わりとは?

 

なぜプロラクチンが高くなるの?

 

プロラクチンの値が高くなる原因はいろいろあります。

そのひとつは薬剤によるものです。

プロラクチンはドーパミンの抑制を受けてコントロールされていることは前回お話しましたが、このドーパミンの分泌を抑えてしまう薬剤があります。

薬によってドーパミンの分泌が減少すると、プロラクチンの分泌は抑制がなくなるので増加してしまいます。

 

ドーパミンを抑制する薬剤

 

向精神薬、抗うつ薬:ハロペリドール、イミプラミンなど、

抗潰瘍薬 消化機能調整薬:ドクマチール、スルピリド、ガスター、タガメット、ザンタック、アルタット、プリンペラン、エリーテン、メトクロールなど

血圧降下薬:レゼルピン、メチルドーパなど

ホルモン剤:経口避妊薬、エストロゲン製剤など

 

ストレスも原因になる

 

プロラクチンを抑制しているドーパミンはストレスによって分泌が低下します。

体がストレスを感じるとコルチゾルというホルモンが分泌されます。コルチゾルは脳内から分泌されるホルモンの活動を低下させてしまうのです。

ストレスの多い生活やストレスのかかる体験(例えば痛みや不安、恐怖)などによってコルチゾルが高まるとドーパミンの分泌は低下し、結果としてプロラクチンの分泌が高まってしまうのです。

 

プロラクチンの値が高いために検査をしたけど、原因がはっきりわからないという場合はストレスが原因であることが多いと考えられます。

 

プロラクチンは変動しやすい

 

プロラクチンは食後や運動直後、排卵期周辺に高くなります。

また、睡眠中は高く日中は低いといった日内変動があります。特に起床直前が最も高くなります。

日中は正常値なのに睡眠中にプロラクチン値が基準値を越えてしまう場合があります。これを潜在性高プロラクチン血症といいます。

潜在性高プロラクチン血症が疑われる場合は甲状腺刺激ホルモン(TRH)の負荷試験を行って診断します。

 

高プロラクチン血症とは?

 

プロラクチンの基準値は検査方法によって違いがありますが、その基準値よりも高くなった場合(CLIA法で30ng/ml 以上)を高プロラクチン血症といいます。

 

 

 

高プロラクチン血症の症状

 

 

乳汁漏出

プロラクチンは母乳を分泌させるホルモンです。

そのために、高プロラクチン血症では産後と同じように胸が張って母乳が漏出するといった症状が起こります。

 

 

月経不順

プロラクチンは排卵を抑制する働きがあるため、月経不順や無月経などの症状が現れます。

 

 

 

高プロラクチン血症の原因とは?

 

薬剤やストレスなどによってプロラクチンの値が基準値を超えてしまった場合は高プロラクチン血症となります。

その他、病的な原因としては

プロラクチン産生下垂体腺腫(プロラクチノーマ)

視床下部機能障害

原発性甲状腺機能低下症

などがあります。

 

 

プロラクチン産生下垂体腺腫(プロラクチノーマ)

下垂体のプロラクチンを産生する細胞が増加して腫瘍となる病気です。

細胞が増加することによってプロラクチンの分泌が亢進してプロラクチンの値が高くなります。

プロラクチノーマの場合、高プロラクチン血症の症状以外にも視野が欠けたり視力が低下するなどの視野障害を伴うこともあります。

 

治療はドーパミン作動薬による薬物療法と手術による外科療法がありますが、たいていはまず薬物療法によて治療が行われます。

 

視床下部機能障害

視床下部でドーパミンの産生が低下するためプロラクチンの分泌が盛んになります。

ドーパミン作動薬によって治療します。

 

原発性甲状腺機能低下症

原発性甲状腺機能低下症は下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌が低下することによって起こります。

すると、視床下部から甲状腺刺激ホルモン(TSH)をもっと出しなさいという指令が出ます。この指令ホルモンは甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)ですが、このホルモンはプロラクチンの分泌を盛んにする作用があるため、高プロラクチン血症の原因となります。

 

 

 

高プロラクチン血症の治療

 

高プロラクチン血症の治療にはプロラクチンの分泌を抑えるパーロデルやテルロンといった薬が使われます。

これらの薬には吐き気、便秘、血圧下降、ふらつき、眠気などの副作用があります。

最近ではカバサールという薬がよく使われ、副作用が少なく週に1回程度の服用で済みます。

 

薬剤が原因の場合は薬の量を調整したり、薬の種類を変えることでプロラクチンを正常にすることが可能です。

医師に妊娠を希望していることを伝えて薬について相談するといいでしょう。

 

 

高プロラクチンと不妊の関係

 

プロラクチンには排卵を抑制する働きがあるため、プロラクチンの値が高くなることで正常な排卵が起こりづらくなり不妊の原因となることがあります。

また、プロラクチンには妊娠を維持する働きや黄体機能を調節する働きがあります。

ですから、プロラクチンの値が高すぎると(また低すぎても)子宮内膜の厚さや卵胞の成長が正常に行われず、妊娠しづらい原因となります。

 

 

 

 

自分で改善できることは?

 

 

自分のストレスを自覚しよう

 

プロラクチンの値はストレスと深い関わりがあります。

高プロラクチンの原因がはっきりわからない場合はストレスが原因であることも多いのです。

まずは生活の中でどんなことにストレスを感じているか、見つめてみましょう。

そしてストレスをなくすために何ができるか、何をしないといいのかを探してみましょう。

 

 

自律神経を整えよう

 

視床下部や下垂体から分泌されるホルモンはすべて自律神経の影響を受けます。

自律神経が乱れるとホルモンのバランスも崩れてしますのです。

ストレスは自律神経が乱れる原因になりますが、自律神経を調整することでストレスを跳ねのける力をつけることができます。

 

まとめ

 

高プロラクチンは食事や睡眠、運動、ストレス、薬など様々なことが要因となって起こります。その時の状況で数値が高くなることもあるのです。

検査で高プロラクチンの結果が出ても、対処する方法はいろいろあります。

なぜプロラクチンの値が高いのか、しっかりと見極めることで解決することができるでしょう。

 

 

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