プロラクチン(PRL)ってどんなホルモン? 妊娠との深い関わりとは?

プロラクチン(PRL)は妊娠、出産、育児に必要な大切なホルモンです。

おもな働きは母乳の分泌を促すことですが、じつはそれ以外にも働きはさまざまで多岐にわたっています。

 

今回はプロラクチン(PRL)とはいったいどんホルモンなのか、そしてどんな働きをするのか詳しくお話したいと思います。

 

プロラクチン(PRL)とは?

プロラクチンとは脳下垂体から分泌される女性ホルモンのひとつです。

下垂体から分泌される女性ホルモンには卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)などがあります。これらのホルモンは、卵巣に向けて卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体を「作りなさい」と指令を出す性腺刺激ホルモンですが、プロラクチン(PRL)は少し違います。

 

プロラクチンはちょっと変わった分泌のしかた

FSHやLHは視床下部が「刺激ホルモンを出しなさい」という指令によって分泌されるのに対して、プロラクチン(PRL)は視床下部の命令で分泌されるホルモンではありません。

プロラクチンは下垂体が常に産生して分泌し続けているのです。

 

この出続けているプロラクチンの分泌をコントロールしているのは、ドーパミンという神経伝達物質です。

視床下部から分泌されるドーパミンはプロラクチン(PRL)を作らないように抑制する働きがあり、出続けているプロラクチン(PRL)をドーパミンが抑えてコントロールしているという、ちょっと変わった分泌の仕方なのです。

 

つまり、視床下部から「分泌しなさい」と指令を受けるのではなく、ドーパミンによって量を抑えるというかたちで調整されているのです。

 

また、プロラクチン(PRL)は甲状腺ホルモンと連動しています

甲状腺機能が何らかの理由で低下した場合には、甲状腺ホルモンが低下します。すると、フィードバック機構によって視床下部から甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が下垂体に指令を出し、下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を増加させますが、、同時にプロラクチン(PRL)の分泌を促す働きがあります。

 

プロラクチンの働きは多種多様

プロラクチンのもうひとつの大きな特徴は働きがとても多様なことです。

 

プロラクチン(PRL)は下垂体からだけではなく、子宮内膜や免疫細胞、脳、皮膚など全身の組織からも分泌されています。

 

ホルモン作用としては乳汁分泌作用が良く知られていますが、その働きは多岐にわたり、

 

水や電解質のバランス調整

成長と発達

黄体機能の調節

排卵の抑制

妊娠の維持

精子形成

性行動への関与

免疫機能の調節

など多彩な生理作用を有しています。

 

ここでは妊娠に関わる働きについてだけ詳しく見ていくことにしましょう。

 

妊娠に関わるプロラクチン(PRL)の働きとは

妊娠に関わる働きとしては

乳腺を発達させる

排卵を抑制する

妊娠を維持する

黄体機能を調節する

妊娠を維持する

などがあります。

 

乳腺を発達させる

プロラクチンは乳汁分泌ホルモンとも呼ばれていて、乳腺の発達を促して乳汁を分泌させる働きを持っています。

妊娠するとプロラクチン(PRL)の分泌は増加し、妊娠末期にピークをむかえます。

妊娠4か月から乳汁の分泌は可能となりますが、エストロゲンによって産生を抑えられているため、妊娠中には母乳は出ません。

しかし、分娩後はエストロゲンやプロゲステロンの分泌が少なくなるため、乳汁分泌が盛んになります。

プロラクチン(PRL)によって妊娠中に乳腺が発達して、出産後の授乳期間中は赤ちゃんが乳首を吸う刺激でプロラクチンが分泌され乳腺で母乳が作られるのを促すのです。

 

排卵の抑制

もう一つの働きが、排卵の抑制です。

プロラクチン(PRL)は卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑制する働きがあり、その働きによって排卵が抑えられます。

授乳の際の乳首への刺激は子宮収縮を促し、産後子宮が早く元の大きさに戻るよう回復を助けますが、授乳期間中に妊娠してしまった場合、赤ちゃんの吸乳刺激で子宮が収縮すると早産などの危険が伴います。そのため、授乳期間中は排卵を抑制し、妊娠しないようコントロールされているのです。

 

 

黄体機能の調節

プロラクチン(PRL)は排卵後黄体に作用してプロゲステロンの分泌を維持する働きがあります。そのため、プロラクチンは黄体刺激ホルモンとも呼ばれ、黄体ホルモンが子宮内膜を厚くするために働きます。また、卵胞の成長を促進する働きがあります。

 

妊娠の維持

プロラクチン(PRL)は下垂体からだけではなく、妊娠初期の子宮内膜(脱落膜)でも作られ、妊娠の維持に何らかの役割を果たしていると考えられています。

胚盤胞が子宮内膜に着床し、妊娠が成立すると、内膜は特殊な形に変化します。出産後は剝がれ落ちるので妊娠後の子宮内膜を脱落膜と呼びますが、この妊娠後の子宮内膜(脱落膜)からプロラクチンが作られて妊娠を維持する役割を果たします。

 

プロラクチン(PRL)の正常値

プロラクチン(PRL)の正常値は測定する検査方法により違いがあります。

プロラクチン(PRL)(CLIA法)

6.1~30.5ng(ナノグラム)/ml

妊娠中は100前後~300ng/ml

 

プロラクチン(PRL)は多すぎても少なすぎてもダメ

プロラクチンは卵の発育や成熟を促進したり、子宮内膜を厚くして着床しやすいように働きます。また、妊娠を維持するためには必要なホルモンです。

しかし、多すぎても少なすぎても卵子の発育や成熟、月経周期などに影響を与えて無月経や無排卵月経などの原因となります。

 

プロラクチン(PRL)は妊娠にとって大切な働きをするホルモンですが、一方では不妊との関わりが深いのも事実です。

 

次回はプロラクチン(PRL)の数値が高くなる原因や低くなる原因、改善するために必要なことなどについてお話しましょう。

 

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